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アメリカ歴代大統領研究ポータル

テカムセの呪い


20年ごとにかかる呪い?

 歴史学者の間では有名な話だが、1840年以来、20年ごとに選ばれた大統領に不幸な運命が降りかかるという説がある 「テカムセの呪い」、「大統領の呪い」、「0年の呪い」、「20年の呪い」など様々な名前で呼ばれている。さて実際にどうか。

テカムセの呪いの対象になった大統領一覧
1840年選出 ウィリアム・ハリソン 就任後、間もなくして病死。
1860年選出 エイブラハム・リンカーン 暗殺。
1880年選出 ジェームズ・ガーフィールド 暗殺。
1900年再選 ウィリアム・マッキンリー 暗殺。
1920年選出 ウォレン・ハーディング 任期途中で病死。
1940年再選 フランクリン・ルーズベルト 就任前に暗殺未遂事件、任期途中で病死。
1960年選出 ジョン・ケネディ 暗殺。
1980年選出 ロナルド・レーガン 暗殺未遂事件で負傷。
2000年選出 ジョージ・W・ブッシュ 暗殺未遂事件が起きるが無傷。
 確かに不吉な兆しはある。歴代アメリカ大統領の中で任期中に死亡した例は8例ある。暗殺が4例に病死が4例である。8人中、7人が上記の一覧に挙がっているので的中率は高いように見える。
 しかし、一覧には載っていないが、まずザカリー・テイラー大統領(1848年選出)も任期中に病死している。その他にもアンドリュー・ジャクソン大統領(1828年選出)、セオドア・ルーズベルト大統領(1904年選出)、ハリー・トルーマン大統領(1948年選出)なども暗殺未遂事件に遭遇している。したがって、テカムセの呪いが本当に効力を持っているかどうかはともかく、実際に当てはまるかは疑問である。

テカムセとは誰か

 そもそも呪いの由来になっているテカムセとは誰か。テカムセはショーニー族の有力者である。建国以来、アメリカは西部に領域を広げつつあり、インディアン諸部族は時に同盟を組んでそれに対抗してきた。
 若い頃、テカムセもワシントン政権期に起きた北西部インディアン戦争に参加している。北西部インディアン戦争は、オハイオ地方の覇権をめぐってアメリカ軍とインディアン諸部族の連合が衝突した戦争である。テカムセはアメリカを宿敵と見なしていた。

テカムセ
テカムセ
 北西部インディアン戦争に勝利を収めたアメリカは、ジェファソン政権期のルイジアナ購入を経て、さらに西部への進出を加速させる。後に大統領になったウィリアム・ハリソンは、インディアナ準州長官として西部のインディアンに土地の譲渡を迫った。その結果、フォート・ウェイン条約が締結された。
 危機感を抱いたテカムセは北西部インディアン戦争と同じく諸部族を糾合してアメリカの西部進出を阻もうとし。1811年、ティペカヌーの戦いでテカムセの双子の兄弟(異母兄弟の説だという説もある)テスクワタワが率いる軍はウィリアム・ハリソン率いる部隊に奇襲を仕掛けたが敗れた。ハリソンは「老ティペカヌー」として全国的な知名度を得て、後に大統領になる足掛かりを得る。

テカムセの呪いの言葉

 1812年戦争の最中、イギリス軍と手を組んだテカムセはアメリカ軍と対抗したが、テムズ川の戦いでウィリアム・ハリソンの軍を前に敗死した。その際、テカムセは次のように呪いをかけたという。

「ハリソンは在職中に死ぬ。太陽を翳らせ、赤い人々[インディアン]に酒を止めさせることができた私がおまえ達に告げる。ハリソンは死ぬと。そして、ハリソンに続いて20年ごとに選ばれる大族長[アメリカ大統領]も死ぬ。その者達が死ぬ時に、誰もが我々の死を思い出すだろう」

 これには異なる説もある。呪いをかけたのはテカムセではなくテスクワタワだという説である。テカムセがテムズ川の戦いで戦死した後もテスクワタワは生きていた。そして、肖像画を描かせている時に仇敵のハリソンが大統領候補として取り沙汰されているのを知ると次のように語ったという。

テスクタワ
テスクワタワ
「ハリソンは死ぬと私は告げる。そして、ハリソン以後、20年ごとに選ばれる大族長も死ぬ。そして、その者達が死ぬ時に、誰もが我々の死を思い出すだろう」

 先程、紹介したテカムセの呪いの言葉とほぼ同じである。いずれにせよ、インディアンがハリソンに呪いをかけたという話は19世紀には記録されておらず、現時点で確認できるのは20世紀以降である。

50年サイクルのスキャンダル

 テカムセの呪いと同じく有名な話が、50年サイクルのスキャンダルである。50年サイクルでスキャンダルが起こるという説だ。
 まず1870年代初期のグラント政権下では次々にスキャンダルが発覚した。さらに1920年代初期にはハーディング政権下で同じくスキャンダルが続出した。そして、1970年代初期にはリチャード・ニクソン大統領がウォーターゲート事件を引き起こして辞任している。
 2020年は、テカムセの呪いと50年サイクルのスキャンダルが重なる年だが、いったいどういう運命がその時のアメリカ大統領に降りかかるかはあなた自身の目で確かめて欲しい。