すすだらけの料理
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1850年頃までホワイト・ハウスでは調理をすべて屋外炊事炉で薬缶やポットを使って行っていた。それは建国初期から変わらない風景であった。すすだらけの料理に閉口したミラード・フィルモア大統領はホワイト・ハウスを近代化しようと改善を試みた。
まずフィルモアは大きな鋳鉄の調理ストーブを導入した。導入したのはよいが、使い方がよく分からない。そこでフィルモアは自ら特許局に赴いてコンロの仕組みを調べた。そのおかげでフィルモア時代以降の大統領はすすだらけの料理を食べなくてすむようになった。
ホワイト・ハウスの台所(1904年)
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さらにフィルモアは近代化を推進している。ホワイト・ハウスに初めて水道を使ったバスタブを導入した。亜鉛の水道管を通してボイラーで加熱した温水がバスタブに満たされる仕組みである。これは当時にあって非常に珍しいことである。なぜなら多くのアメリカ人は、入浴が身体に悪いのではないかと信じ込んでいたからだ。フィルモアは、定期的に入浴するだけではなく、「コリンジアン・オイル・オブ・クリーム」といった化粧品やエグランタンの精油などを使っていたという。 |
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