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アメリカ歴代大統領研究ポータル

クリーヴおじさんのプレゼント

 クリーヴ叔父さんことグローバー・クリーブランドが、将来、妻となるフランシス・フォルサムに初めて送ったプレゼントは何か。答えは乳母車である。フランシスが子持ちの未亡人だったというわけではない。乳母車はフランシス自身の乳母車である。
 実はフランシスは、クリーブランドの友人の娘である。その友人が交通事故で亡くなった後、クリーブランドはフランシスの後見人に指名された。フランシスはクリーブランドを常日頃、「クリーヴおじさん」と呼び、クリーブランドはフランシスを「フランク」と呼んだ。

フランシス・フォルサム
フランシス・フォルサム
 二人は1886年6月2日にホワイトハウスで挙式した。その時、新郎は49歳、新婦は21歳だった。歴代最年少のファースト・レディが誕生した。この記録は今でも破られておらず、今後も破られることはないだろう。
 ホワイトハウスで結婚式を挙行したのはクリーブランドただ一人で、しかも初婚である。どうして今まで結婚しなかったのかと聞かれた時に、クリーブランドは「私の妻が大きくなるのを待っていただけだ」と答えている。まるで源氏物語の若紫のような話である。
 クリーブランドは結婚式当日、執務をいつも通りにこなし、午後7時からの式に臨んだ。結婚式はごく内輪で行われた。新郎は、新婦に愛と敬意を捧げることは誓ったが、服従は拒否し、代わりに守ることを誓った。

クリーブランドの結婚式
クリーブランドの結婚式
 2人のホワイトハウスでの新婚生活は、クリーブランドがベンジャミン・ハリソンに再選を阻まれ幕切れとなった。ホワイトハウスを去る時にフランシスはスタッフを集めて言い渡した。
 「手入れを怠らないように。我々は帰ってくるから」
 はたしてフランシスの言葉は4年後に本当のものになった。クリーブランドは、ベンジャミン・ハリソンを大統領選で破って雪辱を果たしたのである。後にも先にも大統領に返り咲いたのはクリーブランドしかいない。クリーブランド夫妻がホワイトハウスに帰って来た時にただ一つだけ変わっていることがあった。それはクリーブランド夫妻の間に娘ルースが生まれて一家が3人になっていたことである。